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4月

2010

エニアグラムとは何か 3 〜歴史の続き

エニアグラムとは何かという話を続けます。
(いろいろな角度から書けるので、話が尽きません。)

 

今日は、歴史の話を少し補足します。

 

 

 

エニアグラムのルーツは、特定の人や思想に属するものではありません。

古代エジプトから現代の心理学に至るまで、その間のさまざまな思想や
理論が取り入れられ、現在のような形になりました。

エニアグラムは、元々は性格分類ではなく、
宇宙の数学的法則性や象徴的意味を「図形」で示したものでした。


たとえばエニアグラム図を構成する主な要素には、円(全体、一なるもの)、
三角形(3つの力の相互作用)、変六角形(プロセスの変化と進展)があります。

 

この図形に示されている主な考え方は、
ピタゴラスやプラトン(紀元前4〜6世紀)、新プラトン学派(3世紀〜)など、
古代ギリシャの思想からきているといわれます。

 

つまり、2、500年ほどの歴史があることになります。
新プラトン学派の創始者とされているプロティノスは、
『エネアデス』という著書の中で、
「人間にも見出される9つの神聖な特質」について語っています。

 

そして「9つの神聖な特質」の対極になるものがキリスト教に入り、
「9つの大罪(怒り、プライド、妬み、ためこみ、貪欲、欲望、
怠惰、恐れ、欺き)」となりました。

 

実はエジプトには、もっとも古いキリスト教の修道院がありますが、
聖アンソニーが埋葬された地に建てられています。

聖アンソニーは、「砂漠の教父」のひとりでした。

 

彼らは初期のキリスト教徒であり、イエスの砂漠の中での断食にヒントを得、
自然の中の隠遁生活を重んじた人たちです。

リソ&ハドソンによれば、彼らは、人間が聖なる本質を失い、
自我意識にとらわれてしまう「大罪」について集中的に取り組んでいました。

ギリシアからエジプトに彼らが旅する中で、「9つの大罪」が
「7つの大罪(怒り、プライド、妬み、ためこみ、貪欲、欲望、怠惰)」
に減ったといわれていますが、その理由は謎のままです。

 

「9つの大罪」という考え方は、後に性格分類としてエニアグラムが

確立された際に、「9つのとらわれ」として取り入れられています。

 

キリスト教の「大罪」とは、罪そのものというより、人間を罪に導く

可能性がある欲望や感情を意味します。

 

エニアグラムにおいて人は、性格タイプ別にこうした9つの「とらわれ」

のどれかを、繰り返す根深い感情のパターンとしてもっていると考えます。

 

一方、ユダヤ教の流れを汲みながら、新プラトン学派の影響も強く受け、

12〜14世紀にフランスやスペインで発展した「カバラ」という思想が

あります。

 

カバラの哲学の中心には、「生命の樹」と呼ばれるシンボルがあります。
それは10の要素からなり、ひとつは「神の意識」ですが、それ以外の9つは、

人間の9つの「魂の輝き」(叡智、理解、恩寵、美、力、永遠、輝き、基盤、

存在)を表すといわれ、これが後にエニアグラムの9つのタイプのそれぞれと

関連づけられました。

 

こうした一連の歴史的背景は、「人間には9つの特質があり、

それには光(魂の輝き)」と影(とらわれ)の両面がある」という

エニアグラムの基本的な考えにつながっています。
 


 

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