06

5月

2010

鳩山首相のタイプ 〜性格の多様な側面

鳩山首相のタイプについて、補足しようと思っていたら、

昨日、ちょうどその点についてコメントをいただきましたので、

今回はそのお話をします。

鳩山さんがタイプ5である可能性についてこれまで書きましたが、

タイプ5とは思えない面を感じられている方もいるのではないかと

思います。

 

そのひとつは、自分独自の道を歩むタイプ5の割には、

周囲に影響され、優柔不断ではないかということ。

 

エニアグラムでは、基本タイプに加え、

「ウィング」というものがあると考えます。

エニアグラムの円周上で、自分のタイプの両隣にあるタイプの

どちらかに近いと考えるのです。

 

鳩山首相の場合であれば、タイプ5でウィング6、すなわち、

タイプ6寄りのタイプ5と考えています。

 

ですので、自分の考えを信じるタイプ5の要素と、

融和的で、時に優柔不断になるタイプ6の要素がミックスされていると

考えます。

 

同じタイプ5でも、ウィングが4(タイプ4寄りのタイプ5)の場合、

あまり融和的ではありません。

タイプ5もタイプ4も自分独自の道を歩むためです。

小泉元首相は、タイプ5でウィング4と考えられます。

 

リソによると、タイプ5でウィング4の人の

ニックネームは、「偶像破壊者」です。

つまり、慣習を打破し、ものごとを刷新する人なのです。

 

小泉さんの場合、調整型の政治家ではなく、

自分がいいと思うことを断行しました。

 

タイプの中には、実は他にも多様性に関わる要素があります。

それは、自己保存的本能性的本能社会的本能という3つの本能についてです。

 

誰もがこれら3つの本能すべてをもっているにも関わらず、

ひとつの本能が優勢しています。これは何を意味するかというと、

タイプ5の性格傾向が現れる領域が、自己保存的・性的・社会的の

いずれかであるということです。

 

鳩山さんの場合は、社会的タイプ5(社会的本能が優勢しているタイプ5)

である可能性があります。

その場合、タイプ5の傾向性は、社会的領域に表れます。

 

社会的本能が優勢しているというのは、社会的スキルが発達していたり、

社交的という意味ではなく、社会と自分との関わりを意識しがちだと

いうことです。

 

鳩山さんの政治家としての活動を見ている限り、

社会との関わりや社会への関心は明らかに強いと思われます。

 

また、社会的本能が優勢していると、

自分が社会に受け入れられていると感じられることがより重要です。

 

そのため、同じタイプ5でも、社会的タイプ5の人は、

自己保存的タイプ5や性的タイプ5の人に比べると、

よりフレンドリーだったり、融和的であるといえます。

 

昨日、コメントしていただいた内容に触れると、

小沢さんも明らかに社会的本能が優勢している人だと思われます。

タイプ3でウィング4だと思いますが。

 

今日はウィングや3つの本能などの角度から、

性格の多面性についてお話しました。

 

「性格」というものは一面的ではなく、さまざまな要素がミックスし、

状況によって異なる側面を見せます。

 

性格は、独特なエネルギーを生み出している立体的なものなのです。

リソ&ハドソンによるエニアグラムは、それを明確に説明しています。

 

一面的に人を見るのではなく、多様性を認める心のうつわを育てることが

大切です。

 

最後に補足ですが、鳩山さんは、タイプ5とタイプ6の両方の要素が

あるとしたら、どちらが基本のタイプとわかるのか、という疑問が

湧くかもしれません。

 

基本的に、根本にあるタイプのとらわれがどちらなのか、また

根元的恐れなどが何か、ということを見ていくことが重要です。

 

タイプ5のとらわれは、「ためこみ」(自分の知識や気持ちをためこみ、

外に出さない)。根元的恐れは、自分が無能で無力であること。

 

タイプ6のとらわれは、「不安」。根元的恐れは、自分が支えを失うこと。

 

そして自我の構造というものは、皮肉なことに、自分が恐れていることを

自ら招き、実現してしまうのです。

 

鳩山さんの現状は、タイプ5の恐れに向かっているように思えます。

 

また、タイプ5の方は、ストレス状態で、より無表情になっていきます。

感情を切り離すからです。

タイプ6であれば、より反応的になっていきます。

こうしたこともタイプを区別するヒントとなるでしょう。

 

 

 

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6 コメント

  • #1

    まさこ (木曜日, 01 1月 1970)

    エニアグラムのブログ、とても興味深く拝読しています。
    ワークショップももちろんすばらしいですが、よし子さんの文章を時間をかけてゆっくり読むと、自分の今の理解と照らし合わせることができて、
    これはこれでありがたい学びになります。
    鳩山首相についても、なるほど感がありました。具体例は、扱うのは難しいと思いますが、やっぱりわかりやすさがありますね。

  • #2

    高岡よし子 (木曜日, 01 1月 1970)

    ありがとうございます! 誰かの性格傾向について、とくにブログのように公の場でとやかくいうのは本当は好ましくないことだと思うのですが、公人なので、 エニアグラムの学びのためにご容赦を、という感じです。現在進行形のことで話をすると、具体的になっていいですね。

  • #3

    通りすがり (木曜日, 01 1月 1970)

    こんにちは!
    エニアグラムのブログだけでなく、高岡さんのブログも楽しみに読ませていただいています。

    以下、簡単にで申し訳ないですが、

    タイプ5とタイプ6には、立ち位置(視点)の相違があると考えています。

    タイプ5は、外から世界を眺めている感覚があります。
    もしウィングが6なら、より大きなシステムに適合し、さらにシステム自体を構築しようとするかもしれませんが、
    世界や人々との間の距離を保っています。
    あくまでも部外者の感覚です。

    タイプ6は、世界の内にいて人々を眺めている感覚だと思います。
    その根源的恐れや欲求から、たいていの人たちは、システムの内にいます。
    仮に一般社会から距離を置いていても、本人にその自覚はないかもしれませんが、自分の外側に何らかのシステムを求めていたり、つくり出そうとしています。

    「友愛」という[信条]を掲げて、
    できる限り他の生物に害が及ばないように、
    すべての人々に平和と安全をもたらすという[政治原則]を持っている、
    鳩山総理は、あくまで私としては、タイプ6でウィングが5だと見ています。

    >鳩山さんの政治家としての活動を見ている限り、社会との関わりや社会への関心は明らかに強いと思われます。

    私としては、それは政治的主張や社会奉仕に関心の強い5のウィングをもつタイプ6の傾向だと感じています。

    ただ、沖縄の問題でも明らかなように、周囲や有権者とのコミュニケーションが上手くできていないところや、
    自国の国益を超えたところで発想していくところなどは、ソーシャル本能が盲点なのではないかと見ています。

    リソ&ハドソンさんのソーシャル盲点の記述

    社会的な努めや責任ある関与に注意を払うことは、容易ではない。
    社会的なつながりをつくりだしたり、維持する要点を理解するのが困難であり、往々にして、他者の意見の影響を無視する。
    属する共同体との関与意識は、いかなる規模においても、わずかなものかもしれない。
    往々にして、人々との関わりあいをほとんどもたないために、自分は他者を必要としていないし、他者も自分を必要としていないと感じているかもしれない。
    それゆえに、支持者や協力者との間に、また友人や家族との間にも頻繁に誤解が生じるかもしれません。

    >小泉元首相は、タイプ5でウィング4と考えられます。
    >ニックネームは、「偶像破壊者」です。
    >つまり、慣習を打破し、ものごとを刷新する人なのです。

    小泉さんは納得です。

  • #4

    高岡よし子 (木曜日, 01 1月 1970)

    ブログを読んでいただいて、ありがとうございます!

    タイプ診断については、前にもブログで書きましたように、通常、映像分析に加え、ご本人が書かれた文章、そしてその人について書かれた文章など、できるだけデータを集めて徹底リサーチします。

    今回、鳩山さんについては、それがまだできていませんので、十分文献を示すことができないことをご容赦下さい。(首相については、数多くの文献が出ているため、適切な文献を選び出すのに時間がかかるのと、最近の首相は在任期間が短いので、リサーチが追いつきません。)

    ですので、鳩山さんのタイプについては、タイプ5と確信している訳ではなく、探求中ですので、今回のような別のご意見も歓迎です。

    それでご指摘の点ですが、いくつか重要なポイントがあると思います。

    まず、私自身は、「友愛」を掲げているからタイプ6とは考えません。
    タイプ5が友愛を考えないということはありません。
    たとえばジョン・レノンはタイプ5ですが、愛や平和についてよく語っていました。

    いかなるタイプであっても、人間である以上、広範囲のことに関心をもち得ると思います。

    改めてですが、タイプ診断は、その人が語っていることや、
    その人の自己イメージではなく、実際行動とその動機によって
    判断する必要があります。

    それからもうひとつの重要なポイントは、本能についてです。

    コメントしていただいた点、

    「私としては、それは政治的主張や社会奉仕に関心の強い5のウィングをもつタイプ6の傾向だと感じています。」は、社会的本能が盲点であるというお考えと矛盾しているように思えます。

    社会的本能が盲点であれば、「政治的主張や社会奉仕に関心が強い」ということは通常、ありません。なぜなら、盲点であるというのは、意識が行きにくいことを意味するからです。

    また、「自国の国益を超えたところで発想」するのであれば、それはむしろ自己保存的や性的というよりも、社会的な視点であるような印象を受けます。

    一方、社会的本能が発達している人でも、コミュニケーションがうまくない人はいます。社会的本能が発達しているからといって、社交的だったり、社会性が高かったりする訳ではありません。

    社会的本能が高い人というのは、自分と社会との関係について、また社会で起きていることについて、意識しやすいということを意味しているにすぎません。

    ここで重要なポイントというのは、
    社会的本能が優勢(発達)していながら不健全である場合と、
    社会的本能がもともと盲点になっている場合との区別をする
    必要があるということです。

    繰り返しになるかもしれませんが、
    社会的本能が発達している人は、自分と社会との
    関わりを意識する傾向が強いながら、
    健全度が下がるにつれ、人とのコミュニケーションがうまく
    いかず、疎外感を感じます。
    不健全になると、反社会的になります。

    もともと社会的本能が盲点であれば、
    自分と社会とのつながりについて、
    そして社会で起きていることについて、
    意識がいかない傾向があり、
    人や社会とつながりを保ち続ける重要性について、
    頭では理解していたとしても、実感しにくいということがあります。

    たとえば、メールの返事を迅速に返す必要性や、
    年賀状を出すことの必要性を最初からあまり感じにくい
    ということがあります。(単純な例ですが。)

    鳩山さんの場合は、あれだけの政治活動をしている訳ですから、
    社会的関心は高い人だと思います。




  • #5

    通りすがり (木曜日, 01 1月 1970)

    ご返答ありがとうございます!

    >確信している訳ではなく、探求中ですので、今回のような別のご意見も歓迎です。

    私としても、あくまで探求中です。
    (まあ、わからないことですから、確定することもないですが)

    また、自分の見方を正当化しようとしている訳でも、高岡さんの見方を批判しようとしている訳でもありません。
    あしからず。

    >タイプについて、どう思いますか?

    とあったので、簡単にですがコメントしてみました。

    説明の甘さはご容赦ください。
    (それこそ、徹底リサーチして一つ一つ具体的な情報をあげていかないとなりません。)

    >まず、私自身は、「友愛」を掲げているからタイプ6とは考えません。
    >タイプ5が友愛を考えないということはありません。

    おっしゃるとおりです。
    私もタイプ5がそのようなことを考えないなどとは思っていません。

    それを[信条]としているところに着目しているという意味で書きました。
    そこのところをもう少し掘り下げていかないとなりませんが。
    また、その部分[だけ]でそのタイプである根拠にしている訳ではありません。

    >社会的本能が盲点であるというお考えと矛盾しているように思えます。

    それは、言葉の上での矛盾だと思います。

    >社会的本能が盲点であれば、「政治的主張や社会奉仕に関心が強い」ということは通常、ありません。
    >なぜなら、盲点であるというのは、意識が行きにくいことを意味するからです。

    上のコメントでも書き込みましたが、その根っこにある恐れや欲求から、タイプ6は何らかの支えや導きとしての
    システムに関心が強いと思います。
    それは、制度でも慣習でも組織でも階層でも文化でもありえます。
    これは、エニアグラムにおける支配的は本能がどれかに関わるものではありません。

    その上で、3つの本能の優先順位により、実に様々な志向性の現れ方をしていくものと考えています(実感しています)。

    >「自国の国益を超えたところで発想」するのであれば、それはむしろ自己保存的や性的というよりも、社会的な視点であるような印象を受けます。

    社会的な本能が支配的で、特にタイプ6であれば、まず自分の属する国家(自国民)と外国(外国人)との間にはっきりとした境界の意識があるように感じています。
    エニアグラムでいうところのレベルが上昇していくにつれて、考え方がずっと柔軟になり、広い視野から眺められるようになることで、その境界を越えていくのだと思います。

    ところが、鳩山さんの場合は、そうではなくて、そもそも自分の所属する国家への関与意識が薄いような印象を受けるのです。
    例えば、「日本列島は日本人のものではない」といった発言など、真意はわからないですけど。

    >社会的本能が優勢(発達)していながら不健全である場合と、社会的本能がもともと盲点になっている場合

    支配的であるものがうまく機能していない場合は、私としては、かつての小沢さんに感じられます。
    ここでは詳細は控えますが。

  • #6

    高岡よし子 (木曜日, 01 1月 1970)

    再び丁寧なご説明、ありがとうございます。

    限られた字数ではニュアンスが伝わりにくく、補足をしていただき、ありがとうございました。より明確になりました。

    タイプ判定については、日本では印象論になることが多く、あえて綿密にディスカッションしていくことが有益だと思います。

    1.友愛という信条

    友愛を信条とする、ということがおっしゃるようにひとつの重要なポイントだと思います。タイプ6のように原理原則に依りたいという信条なのか?タイプ5としての信条なのか?

    おっしゃるように掘り下げる必要がありますね。

    2.本能の優先順位

    >上のコメントでも書き込みましたが、その根っこにある恐れや欲求か
    >ら、タイプ6は何らかの支えや導きとしての
    >システムに関心が強いと思います。
    >それは、制度でも慣習でも組織でも階層でも文化でもありえます。
    >これは、エニアグラムにおける支配的は本能がどれかに関わるものでは>ありません。

    >その上で、3つの本能の優先順位により、実に様々な志向性の現れ方を>していくものと考えています(実感しています)。

    了解です。

    >社会的な本能が支配的で、特にタイプ6であれば、まず自分の属する国>家(自国民)と外国(外国人)との間にはっきりとした境界の意識があるよ>うに感じています。

    タイプ6でウィング5の方で、社会的本能が強く、あまり健全ではないと、「敵か味方か」という傾向が強まります。健全度については差し控えますが、鈴木宗 男さんはこのタイプだと考えています。健全度が下がると、より反応的で、自分と違う意見に対しては、議論の応酬になります。

    鳩山さんの場合、社会的本能が高くない可能性もあると思いますが、そうだとしたら、性的本能が高いか、自己保存的本能が高いということになります。リソ& ハドソンによれば、性的タイプ6であれば、自分が頼りにする相手を惹きつけるため、体をきたえるなど、自分の魅力を磨きます。おそらく鳩山さんは性的では ないでしょう。(ただし、奥さんとの関係を見ていると、二番目ぐらいに性的本能がありそうです。)そうすると、自己保存的本能が優勢するという可能性があ ります。

    自己保存的タイプ6であれば、リソ&ハドソンの説明では、安全に多大な関心があり、財政的なことへの心配が大きい。自分が不安に思っていることを隠すのが 苦手。むしろそれを表現することによって、人を味方につける。弱くあることによって、人に助けてもらう。小さなことに思い悩み、最悪の事態を考える。



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